マンションの前が冠水
少し遅めの朝食を食べた後、エンポリアムにて新しく買った紫色のコーヒーカップで少し冷めたコーヒーをすすりながら、彼が扉越しにシャワーを浴びているシャーシャーという水の音を心地よく聞いていたら、それをかき消すのかのごとく、さらに大きな水の音が鳴った。ジャージャーというよりも、もっと大きな、窓を揺らすほどの雨。一瞬窓の外がピカッと光った。少し遅れてゴロゴロと遠くで鳴る。その音で僕の心も一瞬にして曇る。バンコックは今日も雨だった(三島由紀夫風)。
本当、雨期の終わりはよく雨が降って困ります。朝バケツをひっくり返した雨が3〜4時間降った後、太陽が現れてカラッと晴れたかと思えば、それも一瞬で、また朝と同じ様なバケツの雨が降ります。雲がバンコク中にドンヨリと立ちこめ、空は日没前のような薄暗い空色が一日中続く日も珍しくないです。
今日は雨が上がった一瞬の隙を見て、ひさびさに彼と2人でカルフールに食料調達をしようと外に出たら、マンションの前の道が川のように冠水していました。車が車体の半分くらいの長さの銀の羽を作りながら走り、車の後ろにはジャブジャブと波打つ水がついて来ています。そんな道を歩いて行けるはずもなく、マンションのトゥクトゥクが戻ってくるまで1階のロビーで待ちました。
トゥクトゥクからカルフールへは約2キロあって、途中2車線の少し広い道に出るんですが、そこも完全に冠水。少し前までバイクに乗って運転していたであろう兄ちゃんも、エンジンに水が入って動かなくなったのか、微妙な笑みを浮かべながら「川」の中をバイクを押して歩いていました。「川」の中を車が列をなして走っている。「川」には車は浮かばないはずなのに、なぜか浮きながら走っている。そう思わせるほど、不思議な光景でした。
バンコクは雨が降ると交通機関が麻痺します。貧弱です。まともに動いているのはBTS(高架式鉄道)と地下鉄くらい。カルフールのKFCで食事したあと、買い物をしてタクシーで帰ろうとしても、なかなか捕まらない。タクシーはいっぱい走っていれど「空車」の赤いランプは消されている。たまに「空車」が光っていても、なぜか呼ぶ手を無視して走り過ぎて行ってしまう。タクシーの運転手も道を選んで走っている。それを知ってるからこそ余計、くやしい。
なんとかタクシーを呼び止めて家路についたのは、普段なら歩いてでも20分近くで帰れるところを、タクシー待ちに時間を潰され、1時間もかかりました。家に帰ってすぐに飲もうと決めていたビールも、生温さが缶の外からも感じられたので、冷蔵庫で一時待機の羽目に。チクショウ。
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